ヘルプ

Sansui D907F Extra (1981年製)

  • 4
  • 126

写真: Sansui D907F Extra (1981年製)

写真: 初代AFで撮る桜 写真: 接点洗浄と劣化部品の交換

3カ月程掛けて、整備一式と一応の音質チューニングを完了。
その後1カ月以上エージングしています。高知へ赴任する前
にチューニング追い込みが終わるかは微妙なところです。

フロントデザイン D907F Extra

----

音楽表現は異なりますが、Rogers PM510はある意味でJBL4320に似て音創りの決定に使用され、BBCが送り出す放送の音を決めていた非常に繊細で良質のモニターです。LS3/5aは所有していないので未確認ですが、Rogers・Harbeth・Spendor・Stirling Broadcast・Graham Audio等を含め、しっかり整備し適切にチューニングすれば、スピーカーセッティングと若干のトーンコントロールで、BBCモニターをルーツに持つ歴史ある英国製上級スピーカーを鳴らし得る、貴重な国産ヴィンテージアンプだと考えます。SANSUI高電圧機の最後の集大成であるこのD907F Extra(とD907G Extra)は、ピンポイントの定位・クリアな分解能・低域の馬力等だけでは語れない、独特の音艶と音場の深い広がりから成る優れたプレゼンスの特長を持っていて、この後の低電圧バランス機D907X・α907以降とは異なる「音ではなく音楽を聴くアンプ」として魅力的な逸品です。

簡単には、電源基板はUTESで同耐圧容量倍増(定電圧回路部は容量変更不可)、終段電源ブロック電解コンデンサそれぞれにUTES100V1000uFとUPZ0.22uF追加、全てのオーディオ基板はUTSJの63V耐圧容量倍増(ドライブ基板の100V耐圧部はUTSJが無いのでUTESの同耐圧容量倍増)、オーディオ基板の100uF以上にはUPZの0.22uFを並列接続する事で、ある程度BBCモニターに合う音質チューニングに近付きます(全て千石電商で入手できます)。プロテクト回路等の音質に関係しない部分は同耐圧以上で同容量の国産電解コンデンサなら拘りは不要でしょう。そこから先は鳴らしたいメインスピーカーに合わせ一部をSilmic等に置き換えての視聴と、波形や特性を測定しながらの回路定数の追い込みになります。これには個々のアンプの半導体特性劣化進行状況の違いもあり、各種計測機材と長い時間が必要になります。

このチューニングを行うと、D907F Extraは何故か接続する電源の品質に敏感になります。音楽に奥行きが足りない・若干煩いと思われたら良質の電源タップに交換する事をお勧めします。煩さが収まり静寂の中から深く広い音場が出現します。接続するスピーカーケーブルにも留意して下さい。尚、UTSJはハンダ付け熱ストレス等による内部劣化が、自己修復により完全回復するまで長い加電時間を要するようです。アンプの電源を投入したまま数百時間エージングすると音が整って来ました。私は外出時も常時通電させ、在宅時は各種の音楽を聴き、就寝時にごく小さな音量でクラシック等を鳴らしていました。少なくても300時間(1日24時間で2週間弱)以上は通電エージングしてみて下さい。

D907G Extraも殆ど同じ内容なので同様です。D907F・D907Gも若干の定数変更で上記コンデンサに交換は有効と思います。D907Fの輸出仕様はAU-D11で若干回路定数が異なりますが同様、D907F Extra, D907G, D907G Extraに輸出仕様型番は有りません、AU-D11iiは全く別物(低電圧バランス機)です。いずれにしてもこのD907F Extraは、フィードフォワードに代表されるその優れた回路と贅沢な構成から、しっかりした整備と多数の部品交換で手を掛ける甲斐の有る、大変優れた資質を持つ国産ヴィンテージアンプだと思います。縁あってD907F Extraを入手されたのなら、もうこの音のアンプは手に入らないので、是非長く大切に使ってあげて下さい。

アルバム: 公開

タグ: D907F F2.8 FA50 K-7

お気に入り (4)

4人がお気に入りに入れています

コメント (0)

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントするにはログインが必要です。フォト蔵に会員登録(無料)するとコメントできます。